「荷物がない!」
楽しいはずの海外旅行が、一瞬にして最悪の事態に…
そんな事態を招く「ケチャップ泥棒(強盗)」をご存知でしょうか?
彼らは親切な人を装って観光客に近づき、観光客の注意を引き付けている間に、集団で貴重品などの盗みを働きます。
知らなければ、日本人なら特にうっかり騙されてしまうような手口ですが、被害を防ぐことはできます。
手口や気をつけるべきポイント、対策などをご紹介していきますので、よければ参考になさってください。
ケチャップ泥棒(強盗)とは?
ケチャップ泥棒(強盗)とは、観光客を狙った犯罪手口の一つで、海外では”Bird Poo Scam”と呼ばれているものです。
“Bird Poo”=「鳥のフン」に気を取られていることを利用し”Scam”=「詐欺」を行うように、ケチャップなど何らかの液体をターゲットにかけて、それを拭き取っている間に窃盗を働きます。
この窃盗は少なくとも2人以上のグループで、液体をかける役、声をかける役、盗む役などの役割分担を元に行われます。
液体には、マスタードやコーヒー、アイスクリーム、口紅、臭いのあるよくわからない液体などが使われる場合もあります。
では、その気になる手口がどのようなやり取りの中で行われるのか、なるべく分かりやすくなるよう会形式でご紹介します。
ケチャップ泥棒(強盗)の手口の例
【登場人物】
【シチュエーション】
空港にて
と、男Aはちまきへケチャップをかけるも、それに気付かないちまき。
と、ここでハンドバッグをキャリーケースの上に置き、貰ったティッシュで拭き取る。
男Aがちまきの注意を引き付けている間に、男Cがハンドバッグを持ち去る。
と、気づいた時にはあとの祭り。
男Aもいなければ、誰が盗んでいったのかもさっぱりわからない状況…
これが、よくある手口の例です。
ケチャップ泥棒(強盗)に気づくポイント
では、どのような場合に、ケチャップ泥棒(強盗)かもしれないと疑うべきなのでしょうか。
先に書いた例からも分かるかもしれませんが、ポイントがいくつかありますのでご紹介します。
①自分の服や持ち物に、何らかの液体・汚れが知らない間についている
②見知らぬ人が声をかけてくる
③拭き取り用のティッシュや水などをくれる
④拭き取るのを手伝ってくれる
⑤荷物を置くように誘導してくる
知らない間に身の回りのものが汚れていて、さらに外国人に話しかけられると、突然のことで気が動転してしまうかもしれませんよね。
ですが、ケチャップ泥棒(強盗)はその一瞬の隙を狙っています。
咄嗟に判断するのは難しいかもしれませんが、こうした場合は声をかけて教えてくれたことにお礼を言いつつ、あとで確認します、などとその場での拭き取りの手伝いなどはお断りしましょう。
ケチャップ泥棒(強盗)による邦人被害が報告されている都市と場所
全世界でこうした犯罪の被害が発生していますが、外務省やブログ、SNSで実際に邦人の被害が報告されている場所もご紹介します。
①【中南米】アルゼンチン、ブエノスアイレス、レティーロ駅前
②【中南米】チリ、サンティアゴ、南バスターミナル建物内
③【中南米】チリ、サンティアゴ、パルケ・フォレスタル
④【ヨーロッパ】ギリシャ、アテネ、路上(空港へ向かう途中)
海外の方のブログや旅行サイトを見ても、
・空港やバスターミナルなどの混雑した場所
・中南米
での被害が多いようです。
ケチャップ泥棒(強盗)の被害に遭わないための対策9つ
被害に遭わず旅行を終えられることが一番ですが、遭ってしまう可能性も考えて、とっておくべき対策をご紹介します。
①旅行先について十分に下調べをする
行きたい観光スポットだけではなく、そこがどんな地域で、どんな犯罪が起きているのかなども確認しておくようにしましょう。
海外の安全情報については、外務省海外安全ホームページで確認することができます。
また、外務省海外安全情報配信サービス「たびレジ」に登録しておくと、
・安全情報をメールで受け取ることができる
・緊急時の連絡、安否確認、支援などが受けられる
といったメリットもありますので、ぜひ登録しておきましょう。
②貴重品を盗まれた場合の問い合わせ先・対応方法を調べる
「盗まれた時に調べればよいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際、被害に遭ってしまって動揺している中で、あれもこれもと冷静に対応・処理できるでしょうか?
事前に一度調べている場合とそうでない場合では、安心感も全く異なります。
特に、航空券、クレジットカード、パスポート、スマホについてはほとんどの皆さんが携行する貴重品ですよね。
被害に遭ってしまったあと、なるべく早く・最小限の被害で事態を収束させるためにも、少し手間かもしれませんが確認して置くようにしましょう。
③貴重品は分散させる
これは被害を最小限に抑えるためで、財布・パスポート・航空券などは分散させて保管しておきましょう。
さらに、忘れがちで注意しておきたいのは、財布の中身も分散させること。以下のように振り分けておくと、どれかが盗まれてしまってもとりあえず最悪の事態は免れることができます。
・服の下のポーチ
→クレジットカード1、現金
・キャリーバッグ
→クレジットカード2、現金
・ハンドバッグ
→現金、ダミーの財布(少しだけ現金を入れておく)
④荷物は極力少なくしておく
理想は機内持ち込み荷物1つと手回り品ですが、長期の旅行の場合や天候のことも考えるとなかなか難しいですよね。
そういう場合でも、預け荷物1つと機内持ち込み荷物1つの2つまでにしておくのが吉。それ以上となるとどうしても手から離れやすくなる為、当然狙われやすくなってしまいます。
女性であればコスメも服もたくさん持っていきたい!などの思いもあるかもしれませんが、盗まれてしまっては元も子もありません。
持ち物は厳選した上で、もし旅行中に不足に気づいたら現地調達しましょう。そしてそれも旅の思い出してしまいましょう!
⑤カバンの口は全て閉めておく
旅行時のカバンはチャック付きなど口を閉められるものを選ぶ方は多いと思いますが、普段から口を閉める習慣の無い方は、つい閉め忘れてしまいがち。
少しでも開けっぱなしにしていると、隙があると思われてターゲットにされやすくなります。
「開けたら閉める」を徹底しましょう。
⑥荷物は自分の視界にしっかり入る範囲に置く
「何となく視界に入っている」では、少し目線を逸らした隙に盗まれてしまうかもしれません。もちろん、自分の視界に入らない背後に置くのはもってのほかです。
自分の視界にしっかり入る範囲=体の正面に置くようにしましょう。
スマホをいじったりしていてもきちんと見える範囲に置くことで、「私は警戒している」ということをアピールでき、狙われにくくなります。
⑦声をかけられても基本的に平然とした態度で無視をする
少し心苦しく感じるかもしれませんが、観光客相手に話しかけてくる人は常に怪しいと思って行動し、声をかけられても、基本的には無視するようにしましょう。
特に、女性や観光客のような方に「汚れてますよ」「手伝いますよ」と声をかけられると何だか安心してしまいがちですが、そんな時こそ要注意です。
ケチャップ泥棒(強盗)は、ターゲットの気が緩む瞬間を狙っていることを忘れないでください。
⑧「何か変だな」と感じた時は直感を優先させる
犯罪者は、あの手この手でターゲットを騙そうとしてきます。
話しかけられて無視できず、会話することになってしまうこともあるでしょう。そんな時、会話の中で少しでも違和感を感じたら、自分の直感を信じて行動するようにしましょう。
多くの場合、直感は当たります。
⑨汚れを落とすのはトイレの個室やホテルに戻ってからにする
身の回り物が汚れていることに気づくと、すぐに汚れを落としたくなりますよね。
でも、荷物から手が離れてしまう状況であれば、絶対にその場では落とさず、ホテルの部屋など他人が入らない安心できる場所で落とすようにしましょう。
何度も言いますが、ケチャップ泥棒(強盗)は荷物から手が離れたその隙を狙っています。
どうしてもすぐに落としたい場合は、トイレの「個室」で落とすようにしましょう。洗面で水道と鏡を使って落としたいと思うかもしれませんが、同性の窃盗犯がトイレまで付いてきている可能性があるため危険です。
ただし、個室でも海外のトイレは扉の下側も空いている場合があるので、ハンドバッグを床に直置きしたりすることのないようにしましょう。
まとめ
対策は細かくご紹介しましたが、基本的には「荷物から手を離さない」「隙を見せない」を徹底すれば、ケチャップ泥棒(強盗)のターゲットにはされにくいはずです。
もしターゲットにされてしまっても「無視」を貫きましょう。
ケチャップ泥棒(強盗)を寄せつけず、素敵な旅のエンディングをお迎えください!